検査システム用撮像レンズの選択

更新日: 2014/06/27

検査システム用撮像レンズの選択

フレネル照明検査システムの説明で光学撮像検査に用いる撮像系として低倍率用のFLL倍率固定化浮動焦点レンズ群、高倍率用のFLH倍率固定化浮動焦点レンズ群、中間の倍率用としてOTH固定焦点レンズ群を紹介しました。またそれぞれの撮像系と対応するフレネル照明系を組み合わせたときのMTF実験値や計算値もMTF説明一覧で紹介しました。 ここではそれらレンズ群と合わせて、新たなレンズ群を紹介しながら、撮像倍率をパラメータとしたときの各レンズ群のMTF変化を見たいと思います。 一般的に同じレンズあるいは同じレンズ群で倍率を変えて使用する場合、使用する撮像素子を同じ大きさとすると倍率が小さいほど画角が大きくなるため性能を保つためには使用するFナンバーを大きく(暗く)する必要があります。 フレネル照明検査システムで紹介した3つの系列のレンズ群、FLL倍率固定化浮動焦点レンズ群、OTH固定焦点レンズ群、FLH倍率固定化浮動焦点レンズ群の倍率とFナンバーの関係は、

FLLレンズ群    0.12X~0.5X   F/6~F/4.5
OTHレンズ群    0.3X~1.33X     F/5.6
FLHレンズ群    1X~3X       F/4.3~F2.3

となります。これらのレンズ群の倍率に対するMTF値を見たいのですが、OTHレンズ群はFLLレンズ群やFLHレンズ群と比べると倍率に対するFナンバーが元々大きいことからMTFも相対的に低くなり単純に他レンズ群と比較する事は困難になります。そのため、フレネル照明検査システムの説明で引用したOTH固定焦点レンズ群の代わりにFナンバーがFLLレンズ群やFLHレンズ群相当で中間倍率用のFLM倍率固定化浮動焦点レンズ群を代わりに加えてMTFの変化を見たいと思います。FLMレンズ群の倍率とFナンバーの関係は FLMレンズ群    0.5X~2X        F/4 となります。なおこれまで挙げたあるいはこれから挙げる各レンズ群の倍率は典型的な倍率設定の例であって、その外の特定倍率に設定して納入することは可能です。特にFLLレンズ群、FLMレンズ群やFLHレンズ群は浮動焦点レンズ群ですので、細かい設定が可能になります。 (詳しくはお問い合わせ下さい。) これら3つのレンズ群はピクセルサイズ5μmで素子数12Kの60mmラインセンサー、あるいはピクセルサイズ3.5μmで素子数16Kの60mmラインセンサーの使用を想定しています。それぞれの場合、使用するレンズに対応する解像本数は以下のとおりです。

素子サイズ 素子数 センサー長  (公称) 解像本数
5μm 12K 60mm 100本/mm
3.5μm 16K 60mm 143本/mm

表1 60mmラインサンサーの仕様と解像本数

撮像レンズを使用した場合実際どの程度の解像を得ることが出来るかは、そのレンズの使用方法や照明の方法等によっても依存しますが、ひとつの目安として例えば使用するセンサーの解像本数での使用する倍率のMTF計算値をあげることができます。 FLL、FLM、FLHの3つのレンズ群が対応している主な倍率例と60mmラインセンサーを使用したときの物体の大きさは以下のとおりです。

レンズ名 FLL-015x FLL-017x FLL-019x FLL-023x FLL-025x FLL-027x FLL-030x FLL-034x
倍率 0.15 0.1688 0.1875 0.225 0.25 0.2727 0.3 0.3375
物体2y 400.00 355.56 320.00 266.67 240.00 220.00 200.00 177.78
レンズ名 FLL-037x FLL-045x FLL-050x FLL-054x FLL-060x
倍率 0.375 0.45 0.5 0.5455 0.6
物体2y 160.00 133.33 120.00 110.00 100.00
レンズ名 FLM-050x FLM-054x FLM-060x FLM-067x FLM-075x FLM-090x FLM-100x FLM-109x
倍率 0.5 0.5455 0.6 0.675 0.75 0.9 1 1.0909
物体2y 120.00 110.00 100.00 88.89 80.00 66.67 60.00 55.00
レンズ名 FLM-120x FLM-135x FLM-150x FLM-180x FLM-200x
倍率 1.2 1.35 1.5 1.8 2
物体2y 50.00 44.44 40.00 33.33 30.00
レンズ名 FLH-100x FLH-109x FLH-120x FLH-135x FLH-150x FLH-180x FLH-200x FLH-218x
倍率 1 1.0909 1.2 1.35 1.5 1.8 2 2.1818
物体2y 60.00 55.00 50.00 44.44 40.00 33.33 30.00 27.50
レンズ名 FLH-240x FLH-270x FLH-300x
倍率 2.4 2.7 3
物体2y 25.00 22.22 20.00

表2 60mmラインセンサー用-投影レンズの倍率と物体の大きさ

各レンズを5μm素子のラインセンサーに使用したときの100本/mmでのMTFと、3.5μm素子のラインセンサーを使用したときの143本/mmでのMTFを、横軸を物体の大きさあるいは倍率にとって図表〔検査システム用レンズ選択1〕に示しました。 左下の引例に示したように図表左上の青菱形がFLLの100本/mm、左下の茶□がFLLの143本/mm、で中上の緑△がFLMの100本/mm、中下の紫×がFLMの143本/mmで、右上の空色*がFLLの100本/mm、右下の橙丸がFLLの143本/mmのMTF値になります。 下にある表の上から1行目に倍率、2行目に60mmラインセンサーに対応する物体の大きさが示してあります。(図中のMTF0の横軸の下に同様に倍率と物体の大きさが示してあります。その下の各値は図に対応したMTFの値となります。) 同様に3行目は12K、5μm素子のラインセンサーを使用したときの1素子に対応した物体の大きさで(単位μm)、4行目は16K、3.5μm素子のラインセンサーを使用したときの1素子に対応した物体の大きさを示します。 対応しているレンズの倍率範囲は図のタイトル部分に示してあるように FLL系列レンズで0.15x – 0.6x  60mmセンサー用 FLM系列レンズで0.5x – 2.0x   60mmセンサー用 FLH系列レンズで1.0x – 3.0x   60mmセンサー用 となり、同じ倍率範囲で上側のカーブが 100lp/mm:5μm(12k) 下側のカーブが 143lp/mm:3.5μm(16k) のMTF値となります。 なお、各MTF値のプロットしてある点付近をクリックすると、対応するレンズのその倍率での仕様値である Fナンバー、倍率、レンズ長、焦点距離、NA、解像、ワーキングディスタンス、全長のほか、 光路図、収差図、色収差、詳細なMTF図 が示されます。 これらのグラフやデータを活用すればそのレンズを使用した場合の撮像結果が予測でき、どのレンズを用いるのが最適か判断することができます。 一方、撮像される物体側の解像度は基本的に使用するラインセンサーの素子数と使用するレンズの倍率によって決まります。実際にはさらにその倍率でそのセンサー素子数に対応する解像でのMTF値が関係します。MTFの値は一般的に解像が低い、つまり素子サイズが大きい方がMTF値が高くなるので、解像度を上げるために素子数は同じで素子サイズが大きいラインセンサーを使うということが考えられます。その場合ラインセンサー長はその分長くなるので、撮像範囲を一定にするためレンズ倍率を若干上げてやれば(これによってもMTFは変化しますが)レンズで必要とする基準の解像本数が下がり、結果としてMTF値を上げることが出来るというわけです。 この例として目白ゲノッセンでは、ピクセルサイズ5μmで素子数16Kのセンサー長80mmに対応するE2Mレンズ群とE2Hレンズ群を検討しています。それらのレンズに対応する解像本数は以下のとおりです。

素子サイズ 素子数 センサー長  (公称) 解像本数
5μm 16K 80mm 100本/mm

表3 80mmラインサンサーの仕様と解像本数-

これら2つのE2MとE2H系列のレンズ群が対応している倍率と80mmラインサンサーを使用したときの物体の大きさは以下のとおりです。

レンズ名 E2M-033x E2M-036x E2M-040x E2M-045x E2M-050x E2M-060x E2M-066x E2M-072x
倍率 0.3333 0.3636 0.4 0.45 0.5 0.6 0.6667 0.7273
物体2y 240 220 200 177.78 160 133.33 120 110
レンズ名 E2M-080x E2M-080x E2M-090x E2M-120x E2M-33x E2M-145x E2M-160x E2M-180x
倍率 0.8 0.9 1 1.2 1.3333 1.4545 1.6 1.8
物体2y 100 88.89 80 66.67 60 55 50 44.44
レンズ名 E2M-200x
倍率 2
物体2y 40
レンズ名 E2H-133x E2H-145x E2H-160x E2H-180x E2H-200x E2H-240x E2H-267x E2H-291x
倍率 1.3333 1.4545 1.6 1.8 2 2.4 2.6667 2.9091
物体2y 60 55 50 44.44 40 33.33 30 27.5
レンズ名 E2H-320x E2H-360x E2H-400x
倍率 3.2 3.6 4
物体2y 25 22.22 20

表480mmラインセンサー用-投影レンズの倍率と物体の大きさ

各レンズを5μm素子の80mmラインセンサーに使用したときの100本/mmでのMTFを、横軸を物体の大きさにとり図表〔検査システム用レンズ選択2〕に示しました。比較のためFLL、FLM、FLHレンズ群の3.5μm素子60mmラインセンサーを使用したときの143本/mmのMTFも合わせてプロットしてあります。 左下の引例に示したように図表中央上の青菱形がE2Mの100本/mm(80mm)、右上の緑△がE2Hの100本/mm(80mm)、で左の茶□がFLLの143本/mm(60mm)、中下の紫×がFLMの143本/mm(60mm)で、右下の橙○がFLHの143本/mm(60mm)のMTF値になります。 下にある表の上から1行目に物体の大きさが、2行目に60mmラインセンサーでの倍率4行目に80mmラインセンサーでの倍率が示してあります。物体の大きさを同じにするため60mmラインセンサーと80mmラインセンサーの倍率は異なります。(図中MTF0の横軸の下に同様に物体の大きさが示してあります。その下の各値は図に対応したMTFの値となります。) 同様に3行目は16K、3.5μm素子のラインセンサーを使用したときの1素子に対応した物体の大きさで、5行目は16K、5μm素子のラインセンサーを使用したときの1素子に対応した物体の大きさを示します。 対応しているレンズの種類は図のタイトル部分に示してあるように倍率範囲が E2M系列レンズで0.33x – 2.0x 80mmセンサー用 E2H系列レンズで1.33x – 4.0x 80mmセンサー用 となり、合わせて図表〔検査システム用レンズ選択1〕で示したFLL、FLM、FLHレンズの143lp/mm=3.5um(16k 60mm)のMTF値が比較のため示してあります。 なお、図表〔検査システム用レンズ選択1〕と同様に各MTF値のプロットした点付近をクリックすると、対応するレンズのその物体の大きさでの仕様値や収差図、MTF図等が示されます。 これらのデータから60mmと80mmラインセンサーを用いる各検査システム用レンズの能力をご理解いただき、センサーと撮像レンズを選択するときの一助となればと願っています。

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